まるで親しい友人かのように話しかけている介護士と出会った。

まるで親しい友人かのように話しかけている介護士と出会った。

祖母が老人ホームに移り住むこととなった。
厳しくも優しい祖母が認知症を患い、当たり前にできていたことができなくなり、排せつや食事もできなくなって、ついには寝たきりの状態になってしまったことにショックを受けた。家で生活することが困難となり、施設での生活を余儀なくされ、いたたまれない気分になった。その当時、私はまだ大学生で、多忙な大学生活を送る自分にとって、老人ホームは馴染みが薄く、どういった施設なのかもよくわからないものであった。しばらくして両親に伴われて面会に行くと、認知症の進行により、会話もできなくなった祖母に、まるで親しい友人かのように話しかけている介護士と出会った。反応が無い祖母に、何でもないかのように気にせず話をし、しばらくすると微かに笑みを浮かべる祖母を見て、言葉に出来ない感動を覚えたことを、いまでも昨日のように思い出せる。そして、介護士となった現在、「自分はその介護士に少しでも近づけているだろうか」と自問自答しながらも、高齢者と共に生きている。